作曲(DTM)初心者が1年間で行ってきた曲作りの全手順を紹介します

なにもわからないDTM初心者がオリジナル曲を作るまでには、どのような手順を踏めばいいんだろう、、

このような疑問を解消できる内容になっています。

この記事を書いている筆者は、20代後半で楽器経験がなく、音楽理論や曲の作り方を何も分かりませんでした。

そんな自分がはじめて作曲(DTM)に挑戦し、1年間のすべての行動手順をここで紹介していきます。

同じように「作曲経験がないけどDTMを始めたい」という方の参考になれば幸いです。

作曲(DTM)初心者が1年間で行ってきた曲作りの全手順(ロードマップ)

はじめに「DTM曲作りのざっくり手順」

はじめに曲作りの流れを簡潔にシェアします。

「こういう曲が作りたい」というリファレンス曲を用意します(できれば音源ファイルを用意する)

最低3曲以上、自分の作りたい曲のイメージに近い曲を用意します。これにより、アイデアを得やすくなります。

とにかくまずは情報収集が命、無知の状態でいきなり理想の曲は作れません。

BPM(テンポ)を決定し、ドラムを打ち込みます

キック、スネア、ハイハットを打ち込み、基本のリズムを完成させます。

ギターかピアノ(シンセサイザー)でコード進行を打ち込みます

お手本の曲からパクるでもいいですし、アレンジするでもいいです。

ベースを打ち込みます

ベースより先にメロディを打ち込む場合もあります。

ベースは、コードの下を支える役割のため、コードの最低音を鳴らします。例えばC(ドミソ)コードならベースはドを鳴らします。

メロディを打ち込みます

MIDI鍵盤があればそれを適当に弾いて曲に合うメロディを探し、打ち込んでいきます。

曲のできあがり

これで、1曲として成立します。細かいアレンジは、まずここを成立させてから行います。

とりあえず曲を成立させてから、曲のイメージに沿って使う楽器やメロディーラインを改良していく感じです。

ミキシングをする

イコライザーやコンプレッサーなどを駆使して各音源の音量バランスを整えていきます。

パンニング(音を左右に振ること)もこの過程に含まれます。

イコライザーは、その音源に含まれる低音域、中音域、高音域の音を削ったり増幅したりできます。

低音を担当するベースを立たせるために、中音域の楽器の低音を削ったりして聞こえやすくしたりします。

コンプレッサーは、高低差があってギザギザになっている音を平らに圧縮できます。

適度に圧縮することで、音圧が上がり、ストレスのない音になります。

(やりすぎると、音が平らすぎて強弱がなく耳が疲れる音になります)

マスタリングをする

ミキシングは楽器の一つ一つに対し行いますが、マスタリングは曲全体に対して行います。

マスタリングはほぼ微調整で、ミキシングで整えた音量バランスを崩さない程度に行います。

最終的には、マキシマイザーで音圧を一気に基準値まで持っていきます。

音圧を稼ぐためにM/S処理という作業を行うことがあります。

2021年9月「独学ピアノを始める」

こちらは作曲をはじめる前の話になります。

筆者は20代後半になり、「ゲームなどの受動的な趣味を楽しめなくなってきた」という状態になりました。

そこで「何歳になっても楽しめて、自由自在に何かを表現する趣味を持ちたい」ということで始めたのがピアノです。

最初の3ヶ月はひたすら「戦場のメリークリスマス」を練習しました。

ちなみに電子ピアノへの投資は5万くらいです。

2021年12月「まずはDTMに必要な機材を揃える」

ピアノを3ヶ月くらいやりながら、「自由に音楽を作れたら楽しそうだな」と思い、作曲を始める構想が出てきました。

そこで、必要な機材を調べて一式を揃えるところからスタートです。

いろいろなサイトや動画を参考にして辿り着いた結論が下記になります。

  1. MacBook Pro 14inch(メモリ16G、ストレージ1TB)
  2. DAWソフト(GarageBand、Logic Pro)
  3. オーディオインターフェース(UR22C)
  4. モニター用スピーカー(iLoud Micro Monitor)
  5. 打ち込み用MIDIキーボード(KOMPLETE KONTROL M32)
  6. モニター用ヘッドホン(ATH-M40x)

パソコン「MacBook Pro14インチ」(25万円)

M1チップを搭載したMacBookです。スペックはメモリが16G、ストレージが1TBです。

メルカリで25万円でしたが、分割払いを駆使して頑張りました。

選んだ理由は、DTMと同時に3D制作も並行してやるためです。(作曲と3Dが両方できれば表現が広がると思ったので)

3D制作では最低でもメモリが16Gはないとキツイという情報を知ったので、多少無理しても買うしかありませんでした。

DTMをやるだけなら、10万のMacBook Airで十分だったと思います。

DAW「GarageBand(無料)」「Logic Pro(有料)」

パソコンを買ったら、次はパソコンに作曲ソフト(Digital Audio Workstation)を入れます。

DAWを使うことで、パソコン一つでの作曲が可能になり、録音から編集までなんでもこなせます。

DAWにはさまざまな種類がありますが、MacBookを選ぶと、自然にDAWもApple仕様になる場合が多いと思います。

 筆者の場合、最初は無料のGarageBand(ガレージバンド)で作曲に慣れて、次に有料のLogic Proへ移行していきました。

Appleベースで作曲をするメリットは、「使っているユーザーが世界中に多いので情報を調べた時にヒットしやすい」ということだと思います。

また、Logic Proはプロの多くも使用していて、1つ1つの機能のクオリティが高く、コスパが高いというメリットがあります。

Logic Proというツールが1個あれば、十分にクオリティの高い曲を作れます。

オーディオインターフェース「UR22C」(約2万円)

オーディオインターフェースは、音質を良くしたり音の遅延を無くしてくれるアイテムです。

主に声を録音したり、楽器を録音したりするときに効果を発揮します。

今回選んだのは、「STEINBERG ( スタインバーグ ) UR22C」です。

比較的安価な部類でありながら、レビューの評価が高く質が高いと思ったので選びました。

再生目的だけで使っても音質が良くなるので、モニタースピーカーとヘッドホンを繋いで常時使っています。

MIDIキーボード「KOMPLETE KONTROL M32」(1万円台前半)

MIDIキーボードがあると、作曲の効率を上げることが可能になります。

マウスで1音ずつデータを打ち込む場合に比べ、キーボードを演奏して打ち込めるので、作業が楽になります。

今回選んだのは、「KOMPLETE KONTROL M32」です。

値段が1万円代で購入のハードルが低く、デザインもかっこよくテンションが上がるので選びました。

(無料のサンプル音源やソフトも何個かついてきました)

ヘッドホン「ATH-M40x」(1万円前後)

DTMでヘッドホンが必要な理由は、音の微妙なバランスや位置をしっかり聞き取るためです。

ここに関しては費用を抑えめにいきました。

今回選んだのは、「ATH-M40x」です。Amazonで1万円でした。

比較的安かったのと、「YOASOBIのAyase(プロ)が使っている物と同じだからいいやつに違いない」というシンプルな理由です。

モニタースピーカー「iLoud Micro Monitor」(約4万円)

DTMの最終段階では、どのような環境で音を鳴らしても違和感がないように調整していきます。

その際、ヘッドホンとモニタースピーカーの両方があると便利です。

今回選んだのは、「iLoud Micro Monitor」です。

思っているより本体がコンパクトかつ軽くて驚きましたが、そのサイズ感の割にいい音がなります。

プロの作業風景でもよく見かけるので、かなり評判が良いのではないかと思います。

機材を無理に揃えなくても、パソコン1つでDTMはできる件

これらの機材を全部そろえるのは金銭的に苦しかったですが、筆者の場合ゲーム機などを売却してなんとか資金を作りました。

しかし、パソコンやiPhone(GarageBandのアプリ)という最低限のツールがあれば作曲はできますので、機材を買えないからとDTMを諦める必要はありません。

最近DM等で作曲機材は何を使ってますか
的なご質問を多く頂くので

PC↓
・MacBook pro (2010)
ヘッドフォン↓
・audio-technica(ATH-M40x)
DAWソフト↓
・logic pro x

だけです。
ご飯食べるテーブルに
PC置いて作ってます。
最低限すぎる質素な環境だけど
やる気さえありゃ
なんとでもなるかな、と pic.twitter.com/LiZCVQyyWK

— Ayase (@Ayase_0404) September 2, 2019

2022年1月「DAWを使って1曲作ってみる」

ここから、曲作りを開始していきます。

音楽の作り方を全くわからない段階から、まずはDAWで1曲作ってみるところから作曲をスタートさせました。

その際、参考にしたのが下記の本です。

難しい理論は後にしてまずは1曲作ってみようというコンセプトの教本で、この本のおかげで初心者の自分でも3日で1曲作ることができました。

(完成した曲は下記の動画になります)

コード進行とベースは本の内容の通りに打ち込みをして、メロディを自分で考えた感じです。

初めて自分で曲を生み出したことでテンションが上がったのを覚えています。

 とりあえず、ドラム(キック・スネア・ハイハット)、コード(和音)、ベース、メロディを打ち込めば、曲として形になります。

2022年2月「コード理論を学び始める」

筆者は本当に音楽について何も知らない状態だったので、

コード進行のCとかGってどういう意味?

という感じでした。

そこで、「誰でもわかるコード理論講座」というYouTube動画シリーズで、基本的な知識をインプットしていきます。

こちらは、タイトル詐欺ではなく本当に初心者の自分にもわかる内容でした。

 こちらの動画シリーズの基礎編だけでも理解すると、かなり作曲がしやすくなりますのでオススメです。
この動画のおかげで、音名やダイアトニックコードなどの基礎的な知識や、コードの種類やその基本的な役割を知ることができました。

初心者はとりあえずこのシリーズを見ておくべき

2022年3月「ベースラインの動きについて学ぶ」

「コード理論の基礎」と、「DAWの打ち込み方」という武器を手に入れたあと、さらにオリジナル曲を2曲作りました。

ちなみに、コード進行は好きな曲のものをパクりました。

(※コード進行には著作権がないので、真似しても問題ありません)

ここで、「ベースの音はどうやって作ればいいのか」について調べました。

ベースを作る上でのコツは下記の通りです。

おもにコード進行の低音を支えてハーモニーに深みを出す役割がベースです。

ここに関しては、最低限のコード理論の理解が必要になります)

  • 音に強弱をつける(裏拍の音を弱くする)
  • 音の後ろを切り、次の音をはっきりとさせる
  • コードの一番下のルート音を基本にする
  • ドラム(キック)の音に合わせてノリをよくする
  • コードの構成音を入れてみる
  • コード感を守りながら、ダイナミックに動いてみる
  • 裏泊だけにベースを置いてみる
  • オクターブ奏法をしてみる
  • コードが変化する時、次の音の半音下か上の音を挟むことで繋ぎを作る
  • ペンタトニックスケールの音を鳴らしてメロディアスにする
  • 16ビートの楽曲では、ゴーストノートを鳴らしてグルーヴィーにする

これらがベース作成の絶対的な正解ではありませんが、調べた限りではこのような感じです。

とりあえず、コードのルート音を基本にしながら構成音を鳴らすだけでもいい感じにできるので、当分はそれだけでいいと思います。(あとはセンスです)

ドラムの打ち込みについて

ベースの打ち込み方と同時に、ドラムの打ち込み方も少しだけ学びました。

キック、スネア、ハイハットがドラムのどの部位でどんな役割があるか。を理解しておけばほぼ大丈夫です。

 ドラムに関しては、無理にオリジナリティを出さず、イメージに近い曲を参考に打ち込む方がいいと思います。

2022年4月「ミキシング、マスタリングについて学ぶ」

3つくらいオリジナル曲を作った後、GarageBandのグレードアップ版であるLogic Proの無料期間90日を利用し、4曲目に取り掛かります。

ここで、「作った曲の音量が小さくてショボい問題」をどうにかしたいと思い始めました。

Logic Proには「本格的な編集機能」が最初からそろっていたので、ここでミキシングやマスタリング(音を編集する工程)を学びました。

  • ミキシングとは→音データの一つ一つに処理を加え、バランスの取れた理想の音に加工すること
  • マスタリングとは→ミキシングが終わった音データ全体を加工し、最終的な調整をすること

音源を編集する際、コンプレッサーやEQ(イコライザー)の2つの使い方を重点的に覚えました。

  • コンプレッサーとは→音の小さい部分と大きな部分の差を潰し、音圧をアップする
  • EQとは→不要な周波数の音をカットしたり、楽器ごとの周波数バランスを整える

「ミキシング、マスタリングのやり方」でネット検索して出てきた記事、YouTube動画、そして下記の本で学ぶことにより、「なんとか最低限のコツは掴めたかな」というレベルまでは到達できました。

とりあえず、「音が小さすぎる」という問題からは解放されました。

(Logicの標準の機能だけで十分なクオリティの曲が作れるので、有料の機能を無理に買い足す必要はありませんでした)

ネット検索しても分からない部分を、これらの本で解消しました

ここに関しては明確な正解がなく、もっと経験を積まないと上達しなさそうです。

2022年5月「音声合成ソフト使って作詞をしてみる」

最低限のコード理論や曲編集テクニックを学んだ後は、無料の音声合成ソフトを使って、作詞に挑戦してみました。

今回もコード進行は好きな曲からパクりましたが、全パクリはオリジナリティがなさすぎると思ったので、「コード進行をアレンジする」ということもやってみました。

「誰でもわかるコード理論シリーズの動画」をしっかり理解すれば、曲のコードを調べてアレンジするのは割と簡単にできます。

音声合成ソフトは、無料の「NEUTRINO東北きりたん」を使いました。(やり方はネットを参考にしました)

2022年6月「特定のジャンルの曲を作ってみる」

ここでLogic Proの無料期間90日が終了したので、2万5千円で購入しました。

そしてボカロの次は、「ニュージャックスイング」というジャンルの曲を作ろうとしました。

新しく得た知識は下記の通りです。

  • サンプル音源を活用する方法
  • 音源をサンプリングする方法
  • スイング(跳ねたリズム)の打ち込み方法
  • 無料音声合成ソフト「知声」の使い方

サンプル音源とは、高品質な音があらかじめ録音された音楽ファイルで、そのまま使えるようになっている音源集のことです。

特にプロも使っている有名なサウンドライブラリは、Spliceです。

しかし、多く場合はサンプルをそのまま使うというよりかは、音質を加工したり、一部だけを抽出して使う(サンプリングする)ことも多いようです。

半年間の全ての行動は以上になります。

2022年7月〜10月 EDM完成に2ヶ月以上かかる

次の作品としてEDM(ダブステップ)を作ろうとしましたが、かなり苦戦しました。

細かく音を差し替えてサビ部分を作っていくのですが、何度やっても納得いく音の組み合わせが見つからず、結局60点のものを採用しました。

ここで新たに得たものは下記の通りです。

  • ボーカルチョップをする方法
  • EDMの構成と、サビ(ドロップ)の盛り上げ方
  • オートメーション(自動でプラグインのつまみを動かすもの)の活用方法
  • さすだけで音が太くなる無料プラグイン(OTT)の活用方法
サムネは、お絵描きAIに描いてもらった

2022年11月 ブラックフライデーで新プラグインゲット&コンペ

2022年11月は、8小節アワードという面白そうなコンペに参加しました。

(8小節しかない音源でどこまで表現ができるか、というのが試されるイベントです)

また、11月は「ブラックフライデー」という、DTM関連の商品が異様に安くなる(もしくは無料配布)お祭り期間が毎年開催されており、良さそうなものを2つ購入しました。

(EQプラグインClaroと、リバーブのプラグインNeoverbを購入)

しかし、金欠だったので本当に必要最低限です。

少なくとも来年のブラックフライデーまでは、新しいプラグインを買うことはないだろうと思いました。

Logicには、すでに優秀なプラグインが揃っているからです。

コンペに投稿した作品の一つ

1年で大体の基礎は身についたかも

DTM歴もそろそろ1年になろうとしていますが、ここまで

  • コード理論の基礎
  • ミックス・マスタリング(音圧上げと周波数バランス調整)の本質理解
  • 各種プラグインの使い方
  • リバーブ、ディレイ、Pan振りなど、空間を表現する方法
  • ベース、ギター、パッドシンセなどの楽器の役割と、割り当て方法

上記のようなことを理解することで、やっとDTMのスタートラインに立てた感覚になりました。

もちろんまだまだわからないことの方が多いですが、基礎が頭に入っていれば理解も容易なので、1番の苦しい持期は突破できたのかもしれません。

2023年〜今後のレベルアップのための課題

現段階での課題はこんな感じです。

  • シンセサイザーで音を思い通りに加工できるようになる
  • サンプリングがうまくできるようになる
  • テンションコードや分数コードなど、応用的なコード理論の理解と活用
  • ミキシング、マスタリングの上達
  • 相対音感を習得して耳コピができるようになる
  • ギターやベース、ドラムなどをリアルに打ち込む方法を理解する
  • いろいろなジャンルの曲に挑戦し、引き出しを増やしていく

当分は、「作りたいジャンルの曲をどんどん作りまくる」ということをしていきます。

作曲(DTM)歴2年目の行動記録と学んだことを紹介します

便利ツール紹介

サブコンテンツとして、DTMをするときに便利なツールを紹介します。

コードワーカー

コードワーカーは、コード進行を考えるときに役に立つ無料サイトです。

パッドを押すだけでコードの音がなり、次に鳴らせるコードを青色表示で教えてくれるという神アプリです。

(ちなみに、青色が濃いほど自然な響きになる)

コード理論に詳しくなくても感覚的に自然なコード進行を見つけることができるので、重宝しています。

Chordify(コード進行分析)

Chordifyは、YouTubeにある曲のコード進行を解析してくれるサイトです。

コード進行を参考にしたい曲がYouTubeにあれば、このツールで簡単にコード進行を知ることが可能です。

まとめ

DTMを初めて行う場合、

  • 最低限の音楽理論、コード進行の仕組みを理解すること
  • EQとコンプレッサーの使い方を覚えること
  • ドラムとベースの打ち込みを理解すること

この辺は必須になってくるのではないかと思います。

DTMはつねに分からないこととの戦いですが、もがき苦しんでいるうちに、少しづつ上達していけます。

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